井戸前知事とテレビ出演するなど、活動内容を広く知ってもらう機会がたくさん得られた。

今回のKiP・OBインタビューは株式会社フードピクト代表の菊池 信孝さんです。サンパル（KiP旧施設）時代といわれるKiP創設時に入居し、2021年3月に卒業。現在は神戸市灘区の水道筋商店街を拠点に活動されています。そんな菊池さんにKiPの上手な使い方などをお聞きしました。

菊池 信孝（きくち・のぶたか）1986年大阪府生まれ。大阪外国語大学在学中にNPO団体インターナショクナルを立ち上げる。料理に何の食材が使われているかひと目でわかるイラストで示す「フードピクト」は神戸市内の学校給食やG20大阪の会場内のレストランなどでも採用されている。

ーーーKiPに入居されたきっかけは何だったんですか？

大学生の頃にNPO団体インターナショクナルをつくり、就職先である大阪の広告代理店に間借りさせてもらいながら運営していたのですが、2011年の結婚を転機に、妻の実家のある姫路と自分の実家のある大阪の間に住もうと思って神戸で暮らしはじめたんです。

その後、元町で事務所を借りたり、しばらく育児休暇的に自宅で仕事したり、神戸市の施設がたまたま空いていたのでそこで3年ぐらい使わせてもらっていたのですが、フードピクト自体も、インバウンドが伸びていくのにあわせて事業が拡大していったので、金融機関やベンチャーキャピタルの方などお客様が出入りする中で手狭になってきたのでどうしようと思っていた頃にちょうどKiPの入居者募集を聞いたので、募集開始日に申込みました。NPOからフードピクト事業を切り分けて株式会社にしたのもその頃です。

ーーー入居の決め手は何だったんですか？

部屋の大きさとか三宮・元町に近い好立地というのもありますが、一番はインキュベーション機能があることですね。大阪の施設も検討していましたが、運営者との相性を考えてKiPを選びました。

コミュニティリンクのスタッフさんを知っていたのも大きいです。NPO法人が運営しているということに勝手にシンパシーを感じていました。僕自身ITに強くないのでNPOの要素とIT分野に強い団体が施設を運営しているのは自分にとって心強いと感じました。

ーーー入居後の変化はどうでしたか？

やっぱり入居者同士の交流があってオープンと同時に入ったメンバーは今も仲良くしています。川原さん（クラセル代表）五十嵐さん（With The World代表）とか大津さん（Compass代表）とかも含めてバリバリのベンチャーの人たちもいるので程よく士気が上がるし、ざっくりいうとコミュニティになると思うのですが、仲良くするとかいうことじゃなくて、同じような成長段階にいる企業の人たちと話ししやすい環境なのが良かったです。

ーーー菊池さんのKiPのお気に入りはどんなところですか？

サンパルから旧居留地の三井住友銀行の上に移転して半年間利用したんですが、それはそれでテンションがあがりました。

旧居留地のブティック街のオシャレゾーンで働けるし、ハードの設備も一気にグレードアップしたんで。コンシェルジュの機能があって、居心地が良かったなと思います。

ーーーKiPで参加して良かったイベントは？

AIナイトというイベントが良かったです。Adobe Illustratorの使い方を先生と生徒という立場で教えるんじゃなくて、居合わせるみんながちょっとずつショートカットの使い方などの自分のテクニックを披露するんですよ。中にはプロのデザイナーさんも混じっていて。みんなが同じテーブルを囲んで入居者同士が学び合いをするのが、ちょっとさっき言ったコミュニティっぽくて良かったです。

ほかにはグッドマン（Advice from GOOD MAN。業界のトップランナーから「起業」に関しての「わたし理論」をアドバイスしてもらえる講座）ですね。特に印象に残っているのはタオカコーヒーさんがゲストの回で、ちょうど今の100% PLANT BASEDの事業をはじめようかとしているときに食品のB2C物販のやるべきことを聞いて、実際にお店に足を運んでみたら、すべてちゃんとやっておられて。広い意味でのデザインとかもしっかりしてるんですけど、話を聞いて感動した後に実際に店舗に行ったらそれが本当に大切にされていて、これはすごいなと刺激を受けました。

ーーー人にすすめるとしたら、KiPのオススメポイントはどんなところですか？

いろんな取材とか視察に来た人たちや、銀行（1Fが三井住友銀行）の方々が来たついでに立ち寄ってくれるので、こちらからがんばって営業に行かなくてもキーパーソンに常に会える環境だというのがメリットですね。

サンテレビの取材で井戸前知事が来ていっしょに対談したことがありました。それがテレビ映像に流れて番組公式YouTubeにも掲載されて。そういう動画を自己紹介がわりに使用させてもらったりできたのはKiPのおかげですね。

取材・文／狩野哲也　撮影／横山宗助