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KiP・入居者インタビュー Vol.003 株式会社Compass 大津 愛さん
起業家の熱意に触れる機会がある。泥臭い話を生で聞けたのがラッキーだった。
今回のKiP入居者インタビューは株式会社Compass代表の大津 愛さんです。サンパル(KiP旧施設)時代から入居し、5億円以上の資金を調達し、国家資格を持ったキャリアコンサルタントによる無料LINE転職相談サービス「CHOICE!(チョイス)」を運営されています。そんな大津さんにKiPの上手な使い方などをお聞きしました。
大津 愛(おおつ・あい)神戸市育ち。10年以上の法人営業経験を経てキャリアコンサルタントへ。ひきこもり支援のNPOで低所得者や就職困難者を中心に年間120名以上の人材マッチングを行う。行政委託事業を数多く経験し、中小企業人事担当者へ採用コンサルティングを実行。2017年株式会社Compass設立。
ーーーKiPに入居されたきっかけは何だったんですか?
もともとKOBE Global Startup Gatewayという神戸市のアクセラレーションプログラムに参加したときに、いまKiPを運営しているNPO法人コミュニティリンクの榊原さんや松村さんが関わっておられて。
その後、2017年に神戸市の500 Startups Kobe Acceleratorというプログラムに参加した際にも榊原さんたちとご一緒したのですが、コミュニティリンクがKiPを運営すると聞いて。
当時から私の知っているNPOとは大きく違う起業家の支援をされていて、私にとってはとても信頼できるサポーターの方々なので応募しました。
ーーー入居の決め手はどんなところでしたか?
やっぱり信頼している方々が常駐しているというのは心強いですね。ほかのまちにも起業家支援施設はあり、中小企業診断士などは在籍しているけど、KiPのスタッフさんのように英語が話せたり、スタートアップに在籍した経験があるような人はいなかったので、私にとっては新鮮でした。
そもそもコミュニティリンクの働き方がスタートアップのカルチャーに近くて、自由に働いている印象でした。今は普通になってきたかもしれないけれど、5年前は珍しかったと思います。
それと、人材紹介の仕事をするにはオフィスが20平米以上で、キャビネットに鍵がついている、相談する個室が必要などのいくつか条件がありました。その条件を満たしていてなおかつ料金の安いスモールオフィスはありがたかったです。
ーーー入居後に何か役立ったことなどはありますか?
今、弊社は20人ほどスタッフがいますが、当初は私ひとりだったので、ひとり広報、ひとり総務と、ひとりで何もかもしていたので、デザイン講座など、マンツーマンに近い講座があって助かりました。
他にもスタートアップの私たちにとって特に良かったのは、金融機関の方を呼んでくださる講座ですね。
スタートアップは資金調達して、赤字をとりながら、誰もやっていないことをスケールさせるビジネスモデルのことを言うんですが、調達ができなかったらそもそもはじまらない。1000万円調達できるかどうかのシード期くらいの会社がいっぱいある中で、その事業計画とあわない状態のビジネスモデルの方がいっぱいいて、それをわかってもらうまではすごく難しい。
そんな中「当初のエクイティ資金調達目標が3000万円だったら金融機関からまずは600万円を借りましょう」と、その事業計画を「どうやってつくっていくか」「どうすればお金を出してくれやすくなるか」などを金融機関で働くゲストを呼んでくださりながら、手厚く教えてくれて、興味のある人が少人数でもイベントを決行されるのが良かったです。
弊社の規模が大きくなってからは、兵庫県などが主催するイベントのゲストに呼んでいただいたりしたのは、無料でPRできる機会になるので助かりましたね。
ーーー今、元トーマツやAmazonなど出身の優秀な方がスタッフに集まっていると思いますが、うまくいった理由はどんなところですか?
たぶんひとつではなくて、いくつか理由があると思います。
ひとつは私が創業した頃、支援者の方々がすごく豊富に神戸にいたことです。
もうひとつは、今は良くも悪くも気軽に起業できる社会ですが、当時はたくさんの人からお金を借りて、1年分の生活費を用意して、ドキドキしながら覚悟をもって起業されている方々が多くて。起業家の熱意にふれる機会が多かったです。ウェブで得られる情報ではなくて、直接KiP界隈でランチしながら「事業を進める上での人件費をどう工面しているのか」とか生で泥臭い話をいっぱい情報交換できたこと。
3つ目は資金調達。「資本政策をどうやって書くか」が難しいと思うんですが、彼(COOの権さん)もアクセラレーションプログラムを大阪市でやっていたんですが、そういう人からノウハウを教えてもらって、スタートアップを伸ばしていくための「スタートアップのお作法」をシード期から触れることができたのが良かったですね。
今はちょっとコロナ禍で難しいですが、KiPのイベント終わりの飲み会とかで、生身でいっぱいの人に直接いろいろ教えてもらえたことが、私たちの成長につながっていると思います。
取材・文/狩野哲也 撮影/横山宗助